最近話題のヒト幹細胞培養液配合の化粧品。いろいろな方から、「あれ、いいの?」と聞かれることが多いのでコラムにまとめてみました。

そもそも、幹細胞ってなに?

化粧品のお話の前に、まずは幹細胞について少しみていきましょう。幹細胞って、よく耳にするけど結局なにかよく分からないのではないでしょうか?幹細胞は、簡単に言ってしまうと何にでもなれる特別な細胞のこと。私たち人間の体は60兆個の細胞からできていると言われます。でも体を構成する細胞のひとつひとつが、どの細胞になるか決まっているわけではないのです。たとえば、胃の細胞は胃の細胞として最初から作られるわけではないの。赤ちゃんを考えると想像がつくかと思います。人間が形作られるとき、一番最初は1つの卵子と精子でしょう?そこから細胞分裂を繰り返すことで、「人」になっていくのですが、このときに、胃腸になる細胞、目になる細胞、皮膚になる細胞と細胞ごとに何になるか決まっているわけではなくて、もとは幹細胞なのです。幹細胞が「私、胃腸になりますね」「私は目になりますね」と言って、それぞれの細胞に変化していくのです。(ものすごく簡単に説明するとね。。)だから、ノーベル賞を受賞されたIPS細胞の発見は画期的だったのです。何にでもなれる幹細胞を作り出せるということは、幹細胞の力を使ってさまざまな細胞が作れる可能性があるということ。例えば、今は適合する人が見つからないと移植がむずかしい腎臓を、IPS細胞で作り出すことができる。。。とかね。だから、幹細胞=再生医療と言われるのです。

ヒト幹細胞培養液と再生医療は関係ない

ここまで読むと、ヒト幹細胞培養液って凄そう!というイメージを持つ方も多いと思います。広告などには、”再生医療でも話題のヒト幹細胞培養液配合!!”とか書いてありますしね。でも残念ながら、ヒト幹細胞培養液と再生医療は全然関係ないの。なぜなら、ヒト幹細胞培養液には、幹細胞は含まれていないのです。ヒト幹細胞培養液とは、幹細胞を培養するときの液体から、幹細胞など細胞類をこしとった後にできる上澄み液のことなのです。そもそも化粧品に生きた細胞を入れることはできません。なぜなら、アレルギー反応を起こす可能性がとっても高いから。なので、ネーミングにはいかにも幹細胞が含まれていそうなヒト幹細胞培養液には、”細胞”というものは全く含まれていないのです。

ヒト幹細胞培養液に含まれている美容成分とは

では、ヒト幹細胞培養液に含まれている美容成分は、いったい何なのでしょう?それは、細胞が増殖するときに生成するタンパク質成分(コラーゲン等)や成長因子などの保湿成分。でもどのくらい含まれているかというと、実はすごく微細なのです。ヒト幹細胞培養液配合の化粧品は高価なものが多い印象ですが、含まれている美容成分から見ると、お値段のわりには美容効果があまり期待できないのではないかと思います。

ディファインビューティがヒト幹細胞培養液を配合しなかった理由

実は7、8年前、ヒト幹細胞培養液が世に出始めのころ、ディファインビューティにも配合しませんか?というお話をいただいたことがあります。ディファインビューティは、人の体やお肌の中にある成分にこだわって開発しているので、そこからぜひヒト幹細胞培養液も!ということだったようなのです。でも私は配合しませんでした。理由は2つ。1つ目は先に書いたように美容効果があまり期待できないなと思ったこと。そして2つ目は、”ひと”の幹細胞であること。ヒト幹細胞培養液は、脂肪細胞などを培養して抽出することが多いのですが、その脂肪細胞が「どこの」「誰の」ものであるかは分からないのです。健康な方なのか、年齢はいくつくらいの方なのか、女性なのか、男性なのか。。。それらは開示されないので分かりません。食べ物でさえ、今は生産者の顔が見える時代。なのに、私たちの大切なお肌につけるものが、どこの誰の細胞かわからない細胞から培養されたもの。。。というのは、私は納得できませんでした。

化粧品の選びかた

ここまで読んでくださってありがとうございました。最後になりますが、このコラムはヒト幹細胞培養液を使わない方が良いですよ、と言うつもりで書いているわけではありません。化粧品は、「美しくなりたい」と思う私たちの希望をたくして使うもの。だからこそ、より新しい成分や技術を取り入れたいと言う方もいらっしゃるでしょうし、ずっと同じものを長く愛用したいと思う方もいらっしゃると思うのです。私は1美容家として、ヒト幹細胞培養液は配合しないと判断しましたが、使ってみたら自分の肌にはすごく合うと言う方もきっといるはず。ですので、このコラムは知識を広げる一つのツールと思って読んでいただけたら嬉しいです。